類似自治体機能の詳細(1/4)

類似自治体機能の説明

 選択した自治体と類似する自治体を、人口・世帯、産業・就業、生活環境、財政といった、多角的な53の指標に基づいて抽出します。

 また、2自治体間の健幸都市度をレーダーチャートやAIによる分析を通じて比較することができます。

※利用しているデータの詳細な出典元はこちら

類似自治体機能の詳細(2/4)

類似自治体の算出方法①:標準検索

 53の指標をもとに、主成分分析(PCA)という方法を使って、自治体の特徴を9個の代表的な軸(ものさし)に凝縮します。

 その上で、自治体間で各軸の値がどの程度似ているかを算出します。

軸の例)

【軸1】
第三次産業集積度
【軸2】
高齢化・地域内就労度
【軸3】
都市機能集中・単身居住度

イメージ)

A市
軸1:100
軸2:5

軸9:10
類似度が
高い!!
B市
軸1:101
軸2:4

軸9:9

類似自治体機能の詳細(3/4)

類似自治体の算出方法②:産業構造検索

 53の指標をもとに、いくつかの町のタイプ別に自治体を類似化します。

 GMM(混合ガウスモデル)により、各自治体が各タイプの特徴をどの程度持っているかを割合として表現します。(例:タイプ1が40%、タイプ2が30%、…というような形です)

 その上で、自治体間でタイプの構成比がどの程度似ているかを算出します。

タイプの例)

1
産業集積・新興住宅地域
6
広域・農林水産業基幹地域
8
都心ビジネス・情報通信中枢地域

イメージ)

A市
タイプ1:60%
タイプ6:30%
タイプ8:10%
類似度が
高い!!
B市
タイプ1:60%
タイプ6:32%
タイプ8:8%

類似自治体機能の詳細(4/4)

算出方法とデータ処理の技術的詳細

本セクションでは、類似自治体の判定における統計的なロジックや欠損データの処理方法について、専門的な仕様を解説しています。

1. 欠損値(空欄)のデータ補完

公的統計においてデータが存在しない「欠損値」に対し、本機能では妥当性を保つために以下の2段階の補完処理を行っています。

第1段階:近隣・同規模の平均による補完

欠損している項目は、原則として「同じ都道府県 × 同じ区分(市/町/村)」の平均値を用いて自動補完します。これにより、地域特性を維持した自然な値が割り当てられます。

第2段階:構造的な欠損(統計の秘匿)への対応

以下の3つの経済指標については、事業所数が極端に少ない自治体において、個人の特定を防ぐための「統計上の秘匿(空欄)」が発生します。これらはデータ漏れではなく「その産業の経済活動がほぼ存在しない」という重要な構造的意味を持つため、実態に合わせて「0(活動なし)」として補完します。

  • 年間商品販売額:卸売総額(対人口比)
  • 年間商品販売額:小売総額(対人口比)
  • 製造品出荷額(対人口比)
💡 補完の効果: この2段階補完の導入により、従来計算対象外になってしまっていた全国19の村がすべて保持され、データが欠落する現象が完全に解消されました。

2. 標準検索の算出ロジック(PCA × ユークリッド距離)

最も似ている個別の自治体を順位付けする、類似度判定のメインエンジンです。

全国の自治体から集めた社会経済に関する53の指標を対象に主成分分析(PCA)を実施し、多重共線性を除去した上で10の主成分(代表軸)へ要約・射影しています(累積寄与率82.0%)。類似度の判定には、この主成分スコア空間上における重みなしユークリッド距離(主成分スコアの分散をそのまま活用する近傍探索)を採用し、主要な構造軸が適切に重視されるように設計しています。

確認された10の主成分(要約された軸の構成)
主成分 寄与率 方向性が示す地域構造の意味
PC132.5%都市の産業集積度(サービス業やオフィス集積度。マイナス側は高齢・高持ち家率の農村)
PC213.1%成長・現役世代度(人口増加率や現役通勤世代の多さ。マイナス側は高齢・高歳出)
PC39.9%人口の流動・単身度(転出入の激しさ、単身世帯の多さ、三世代同居率の低さ)
PC46.5%商業の中枢性(周辺地域から商流や昼間人口を集める中核・拠点都市の特徴)
PC55.0%農村・広域度(可住地面積の広さ、農林漁業の規模の大きさ)
PC64.4%就業率の水準(男女を合わせた全体の就業率の高さ)
PC73.2%女性就業・大企業度(女性の社会進出度や大企業の雇用構造)
PC82.6%製造業特化度(製造品出荷額の突出した大きさ、ものづくりの街)
PC92.5%財政の自立・流動性(歳出における一般財源の割合と人口移動の連動)
PC102.2%財政と教育の質(経常収支比率の健全性や高等教育修了者の比率)

3. 産業構造(まちのタイプ)の算出ロジック(GMM × JSダイバージェンス)

特定の1件を探すのではなく、同じ性質を持った「共通の仲間(集団)」を捉えるためのエンジンです。

上位10主成分の空間に対してガウス混合モデル(GMM, クラスター数 k=7, 調整パラメータ reg_covar=0.5)を適用しています。各自治体をどこか1つのクラスターに強制分類するのではなく、「タイプAに80%、タイプBに20%」というソフトな所属確率ベクトルとして表現します。自治体間の類似度は、この確率ベクトル間のズレを測るJensen-Shannon (JS) ダイバージェンス(0〜1に有界化された統計的距離)を用いて測定しています。

クラスター数「7」選定の背景

統計的な適合度(BIC)の評価に加え、実用性を重視して決定しています。仮に8以上のクラスターに設定すると、昼夜間人口比率などが極端に高い特殊な自治体が1つの独立した単一クラスターとして分離してしまい、類似自治体が0件になる「退化」が起きてしまいます。逆に6以下に絞ると「ベッドタウン」と「伝統的な地方農村」が混ざり、比較の目的が失われます。検証の結果、すべてのグループに十分な自治体数が分散し、かつ意味が明確に分かれる「7タイプ」が最適解として採用されました。

類似分析の対象外となる自治体について

原発避難の5町村(福島県:双葉町・広野町・楢葉町・葛尾村・飯舘村):避難指示の影響により社会経済の前提条件が特異であるため、比較の妥当性を保つ目的で意図的に除外しています。
北方領土の5村(留別村・留夜別村・紗那村・色丹村・蘂取村):社会経済データそのものが存在しないため、分析対象外としています。