公的統計においてデータが存在しない「欠損値」に対し、本機能では妥当性を保つために以下の2段階の補完処理を行っています。
欠損している項目は、原則として「同じ都道府県 × 同じ区分(市/町/村)」の平均値を用いて自動補完します。これにより、地域特性を維持した自然な値が割り当てられます。
以下の3つの経済指標については、事業所数が極端に少ない自治体において、個人の特定を防ぐための「統計上の秘匿(空欄)」が発生します。これらはデータ漏れではなく「その産業の経済活動がほぼ存在しない」という重要な構造的意味を持つため、実態に合わせて「0(活動なし)」として補完します。
最も似ている個別の自治体を順位付けする、類似度判定のメインエンジンです。
全国の自治体から集めた社会経済に関する53の指標を対象に主成分分析(PCA)を実施し、多重共線性を除去した上で10の主成分(代表軸)へ要約・射影しています(累積寄与率82.0%)。類似度の判定には、この主成分スコア空間上における重みなしユークリッド距離(主成分スコアの分散をそのまま活用する近傍探索)を採用し、主要な構造軸が適切に重視されるように設計しています。
| 主成分 | 寄与率 | 方向性が示す地域構造の意味 |
|---|---|---|
| PC1 | 32.5% | 都市の産業集積度(サービス業やオフィス集積度。マイナス側は高齢・高持ち家率の農村) |
| PC2 | 13.1% | 成長・現役世代度(人口増加率や現役通勤世代の多さ。マイナス側は高齢・高歳出) |
| PC3 | 9.9% | 人口の流動・単身度(転出入の激しさ、単身世帯の多さ、三世代同居率の低さ) |
| PC4 | 6.5% | 商業の中枢性(周辺地域から商流や昼間人口を集める中核・拠点都市の特徴) |
| PC5 | 5.0% | 農村・広域度(可住地面積の広さ、農林漁業の規模の大きさ) |
| PC6 | 4.4% | 就業率の水準(男女を合わせた全体の就業率の高さ) |
| PC7 | 3.2% | 女性就業・大企業度(女性の社会進出度や大企業の雇用構造) |
| PC8 | 2.6% | 製造業特化度(製造品出荷額の突出した大きさ、ものづくりの街) |
| PC9 | 2.5% | 財政の自立・流動性(歳出における一般財源の割合と人口移動の連動) |
| PC10 | 2.2% | 財政と教育の質(経常収支比率の健全性や高等教育修了者の比率) |
特定の1件を探すのではなく、同じ性質を持った「共通の仲間(集団)」を捉えるためのエンジンです。
上位10主成分の空間に対してガウス混合モデル(GMM, クラスター数 k=7, 調整パラメータ reg_covar=0.5)を適用しています。各自治体をどこか1つのクラスターに強制分類するのではなく、「タイプAに80%、タイプBに20%」というソフトな所属確率ベクトルとして表現します。自治体間の類似度は、この確率ベクトル間のズレを測るJensen-Shannon (JS) ダイバージェンス(0〜1に有界化された統計的距離)を用いて測定しています。
統計的な適合度(BIC)の評価に加え、実用性を重視して決定しています。仮に8以上のクラスターに設定すると、昼夜間人口比率などが極端に高い特殊な自治体が1つの独立した単一クラスターとして分離してしまい、類似自治体が0件になる「退化」が起きてしまいます。逆に6以下に絞ると「ベッドタウン」と「伝統的な地方農村」が混ざり、比較の目的が失われます。検証の結果、すべてのグループに十分な自治体数が分散し、かつ意味が明確に分かれる「7タイプ」が最適解として採用されました。
・原発避難の5町村(福島県:双葉町・広野町・楢葉町・葛尾村・飯舘村):避難指示の影響により社会経済の前提条件が特異であるため、比較の妥当性を保つ目的で意図的に除外しています。
・北方領土の5村(留別村・留夜別村・紗那村・色丹村・蘂取村):社会経済データそのものが存在しないため、分析対象外としています。